第21章

試用中

試用中

試用中

試用中

のとき自分が抵抗しなければ、そんなことはなかったのかもしれないと、思い悩むことを――

やめた。

思うのを止めた。

重みを、無くしたのだ。

自ら、進んで。

ズルを――した。

心の拠り所を――求めたのだ。

「物々交換だよ。交換、等価交換。蟹ってのは、鎧を身に纏って、いかにも丈夫そうだろう?

そういうイメージなんだろうね。外側に甲羅を持つ。外骨格で、包み込むように、大事なもの

を保管する。すぐに消えてしまう泡でも吹きながらね。食えないよねえ、あれは」

蟹が嫌いなのは本当らしい。

忍野は軽いようで案外――不器用な男なのだ。

「蟹ってのは、解ったような虫って書くだろう? 解体する虫ってことでもあるのかな。いず

れ、水際を行き来する生物ってのは、そういうところに属するものなんだよね。しかも連中―

―大きな鋏を、二つ、持ってやがる」

結論として。

戦場ヶ原は重みを失って――重みを失って、思いを失って……

(ò﹏ò)

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