第51章

る。

「僕が訊きたかったのは――こいつを、八九寺を、お母さんのところに一体どうやったら連れ

て行ってやれるかって――それだけだっただろうが。最初から、それだけだっただろうが。そ

んな、知ったところで誰にも自慢できないような蘊蓄なんて、知らないんだよ。使いどころの

ない雑学なんて――脳の無駄遣いだ。大事なのは――そういうことじゃないだろう」

阿良々木暦のことじゃない。

あくまで、八九寺真宵のことだった。

僕が離れればいいだなんて――違う。

僕は離れては、いけないのだ。

「……わかってるの? 阿良々木くん。その子――そこにはいないのよ。そこにはいないし、

どこにもいないのよ。八九寺……八九寺真宵ちゃんっていうんだっけ。その子は……もう死ん

でるの。だから、もう、当たり前じゃなくて――その子は怪異に取り憑かれてるんじゃなく

て、怪異そのもので――」

「それがどうした!」

怒鳴った。

戦場ヶ原を相手に――怒鳴ってし……

(ò﹏ò)

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