第77章

から、学校とかじゃ、

話、駄目だったってことか」

「いや、そうじゃなく、学校では目立つというか、人目を憚るというか……できれば、他の人

には見られたくなかったから」

言って――神原は、左手の、真っ白い包帯を、解きにかかった。ぐるぐるに巻かれたその包

帯を、留め金を外し、指に近い方から、順番に――

思い出す。

昨夜のこと。

自転車を破壊したのも、ブロック塀を崩したのも、僕の内臓を破裂させたのも――

全て、左手で作った拳だったことを。

「正直に言って、あまり人に見られたいものではないのだ。私はこれでも一応、女の子なので

な」

包帯が完全に解け――神原は制服の袖を、捲り上げる。そしてそこに僕が見たのは、神原

の、女の子らしい、細くて柔らかそうな二の腕から連なる、肘から先が――野生のけだものの

それのような、真っ黒い毛むくじゃらの、骨ばった左手だった。

破れたゴム手袋の穴から覗いた。

けだものの、匂い。

「まあ、こうい……

(ò﹏ò)

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