第86章

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007

神原駿河の部屋を片付けたとき、炭酸飲料の握りつぶされた空き缶とかスナック菓子の袋と

かインスタント食品のカップとかに混じって、それ一つだけ異様に違和感のある、長細い拵え

の桐箱があった。時代を感じさせる色がついていて、それは神原の扱いが荒かったからだろ

う、傷だらけではあったが、分厚い、丈夫そうな箱だった。多分それは、何らかの骨董品でも

――多分花瓶でも――入れられているのだろうと、僕は思った。この日本家屋の荘厳さのこと

を考えれば、こういう代物があって、それらしいものが中に入っていてもおかしくはない。

しかし。

箱は、空っぽだった。

勿論、だからといってその箱をゴミと判断することはできず、僕はとりあえずそれを段ボー

ル箱の上に積んでおいたのだけれど、話が本題に入るくだりで、神原は、その箱に手を伸ばし

て、そして、僕との間に、物々しげに置いた。そして、この箱には何が入ってい……

(ò﹏ò)

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