第31章

念そうだった。

僕は慌てて、話題を切り替えるように、

「千石の方こそ」

と言った。

「よく、僕のこと、憶えてたな。ちっちゃい頃、何回か遊んだだけの相手のことなんて。しか

も、友達の兄貴だろ? 普通だったら、そんなこと、忘れちまうよ」

「撫子、あんまり、人と遊ぶこと、なかったから」

千石は言った。

「あの頃、放課後まで一緒に遊ぶような友達って、ららちゃんくらいだったし……」

ららちゃん、というのは、僕の下の妹のことだろう。そうだ、確か、あいつは、家に連れて

くる友達から、そんな風に呼ばれていた。小学生の頃のニックネーム。『あららぎ』の、真ん

中を取って、『ららちゃん』――だ。今は上の妹と合わせて、栂の木二中のファイヤーシス

ターズだけど……。

変われば変わるものだ。

人が変わるのは、当たり前のこと。

まあ、あの頃と言うならあの頃の僕はと言えば、妹が家に友達を連れてきて、その遊びに付

き合わされることを、迷惑に思……

(ò﹏ò)

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