も――触れるはずなんだ」
そう言っていた。
春休み以来、僕には吸血鬼の血が――流れている。血。血液。言うなら僕が怪異そのものだ
――怪異なら怪異に、触れられるはずなんだ。
触ることができれば、引き剥がすこともできる。
そうなんだ。
重要なのはイメージすることだ。千石の身体に刻まれた鱗の痕から、蛇切縄本体の形を、想
定し――その蛇切縄がどんな風に千石に巻き憑いているのかを、思考する。間違っちゃ駄目
だ。くそっ……上の妹ならまだしも、僕は下の妹と同様、インドア派だったからな……蛇に触
るなんて経験、これが初めてだ。初めて触る蛇が、怪異なのか……。
怯むな。
その下の妹と遊んでいた千石でさえ、自力で蛇を、十匹以上、捕獲したんじゃないか――お
兄ちゃんの僕がその程度できなくてどうする。
「う……うぐっ!」
ぬめり、と。
嫌な感触が――両手のひらにあった。
粘液の中に手を突っ込んだような感覚。
鱗がざくざくと、手に刺さる……
(ò﹏ò)
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