第55章

持たずに洞窟に這入ったRPGの主人公みたいだ。自分の持ち札を全部晒

して相手に決断を委ねるような、ある種の恫喝外交みたいな方法論を、惚れた腫れたの微妙な

関係内で、使うべきだとでも思ったのだろうか? 情緒もへったくれもありゃしない。そんな

迫り方をしたら、百人中九十九人までが、間違いなく引く。それこそ怖いよ。そんなの、恋愛

経験皆無の、僕にだってわかるぞ……。

まあ。

これが、僕が九十九人を除いた残りの一人だと見抜いた上での戦略なのだとしたら――それ

はもう、帽子を脱ぐしかないけれど。

やっべえ。

ものすごく萌える。

洒落にならないくらい。

本当なら、このまま、勢いに任せて、戦場ヶ原に抱きつきたいくらいだったけれど――そん

なことで戦場ヶ原を失うのは、僕にしたって御免だった。晒せるような手札は、そもそも僕に

はないけれど……、戦場ヶ原との関係は、とりあえず、こんな感じでいいように思えた。

じょうき

ちょとつ……

(ò﹏ò)

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