第60章

には、何の問題もないわけだし

な。

僕は自転車に跨り直す。

「じゃ、八九寺。またな」

「はい。またお会いできると確信しております」

小学五年生の友達に見送られながら、僕は学校へと向かった。結構ぎりぎりな時間だったの

で、ペダルを漕ぐ足には力が入る。

八九寺真宵。

蝸牛に迷った少女。

元気そうで何よりだったが――しかし、何よりと言うには、彼女の立ち位置は、非常に危う

いものなのだった。ある意味、僕が知っている誰よりも、怪異にかかわった者としては、最悪

なポジションにいるのかもしれない。

だからと言って――どうしてやることもできない。

自分が何かできると思っては駄目だ。

人は――一人で勝手に助かるだけ。

そこを勘違いしてはいけない。

いけないんだけれど。

「………………」

怪異にかかわり――怪異を知ってから、三ヵ月。

あれから三年――ではないが。

ないが、僕は、随分変わってしまった。

これも――

一人で、勝手に変わっただけな……

(ò﹏ò)

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