第65章

、僕は、もう吸血鬼じゃないとは言え、それは十分に考えられるかもしれない。いつ

か八九寺と話した、ギャルゲーの主人公云々の話ではないが……そういう現実的な理由付け

は、可能だ。

さてこそ羽川。

ものの見方が違う。

けれど――だとすると、それは嫌な話だ。

だって、それが本当だとすると、今僕が、戦場ヶ原ひたぎと付き合っていることの意味が、

全く様変わりしてしまいはしないか――

八九寺とあんなに楽しく話せるのも。

神原があんなになついてくるのも。

それに千石のことだって――

「……ごめんね」

羽川が言う。

「今、私、意地悪なこと言ったよね」

「別に――そうでもないだろ。むしろ納得したくらいだぜ。なるほど。考えてみれば、去年ま

での僕は、かなり本気で一人も友達がいないくらいだったしな――思い出すぜ、携帯電話のア

ドレス帳に、誰も登録されていなかったあの時代を……」

全部覚えてられたんだもんな。

今はもう、ちょっと無理。

229……

(ò﹏ò)

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