第71章

それから――何かあったら、いつでも僕に電話しろ。どこにいようが、なにをしていよう

が、いつでもお前の力になる」

「あはは、何それ、格好いい」

羽川は笑った。

いつも通りの笑顔で。

「何かって、何よ」

「それは、だから――」

「うん、わかったよ、阿良々木くん」

そして、言った。

「何かあったら、すぐに電話するから。メールでもいいよね?」

言った。

そう言ったものの――

結局、ゴールデンウィークの間中、僕の携帯電話に、羽川からの着信も羽川からのメール

も、ただの一回たりともなかった。

必要なときにそこにいるということ――ただし。

僕はこのとき、命の恩人である羽川から、全く必要とされていなかったということだ――人

恋しかったけれど、それは単に、八つ当たりする、憂さを晴らす、そんな相手が欲しかっただ

け――必要とされてもいないのに、僕は無様にも、そこにいたのだった。必要とされていたの

は、猫だ。

猫。

怪異には、それに相応し……

(ò﹏ò)

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