第75章

忍の姿を直接知っている人間は、僕も含めて六人しかいないのだ――その

内二人、羽川翼は今ブラック羽川となって縛り上げられているし、忍野メメは、そのブラック

羽川の見張り役である。

残る四人、僕と千石を除けば二人。

その二人に声を掛けないわけにはいかない。

まずは、まだ与しやすい、神原駿河からだった。

携帯電話のアドレス帳から、彼女の名を選択する。もう放課後になっているから、学校にい

ても携帯電話の電源は入っているはずだ――いや、つい数日前に携帯電話を持ったばかりの神

原が、そういう校則を正確に把握しているかどうかは、怪しいところだったが――

「神原駿河だ」

相変わらずの、フルネームでの名乗りだった。

どうやら、杞憂だったようだ。

「神原駿河。得意技はBダッシュだ」

「…………」

本人的にはそうなんだ。

宅急動でも縮地法でもなく。

まあ、これに対して嘘をつけとは言えないな。

「神原駿河。職業は阿良々木先輩のエロ奴隷……

(ò﹏ò)

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